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    かけはし2021年4月26日号

ミャンマー日誌


シャン州などで少数民族武装勢力が軍・警を攻撃、国軍が報復空爆

CRPH国家統一政府を設立したと宣言


4月10日 電子メディアのイラワジによると、4月10日朝、ミャンマー北東部シャン州ラショーで警察の建物が少数民族武装勢力に攻撃され、警察官14人が死亡した。同日午後には、北西部ザガイン管区でも別の武装勢力と市民が手りゅう弾による攻撃を行い、警察官18人が死亡したもようだ。ラショーで攻撃を行ったのは、西部ラカイン州を拠点とするアラカン軍(AA)、シャン州を拠点とするタアン民族解放軍(TNLA)とミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)の3武装勢力。3勢力は3月末、国軍の市民弾圧を非難し、暴力を停止しなければ民主化運動を支援すると表明していた。付近の村落では、多数の避難民が出ているもようだ。  
 ザガイン管区のインド国境タムでは、同地域を勢力範囲とする武装勢力のクキ民族機構(KNO)が民衆とともに攻撃を実施。軍・警部隊のトラックに手りゅう弾を投げ、警察官18〜19人が死亡した。国軍の兵士や警察も、手りゅう弾や機関銃で市民を攻撃したという。北部カチン州や東部カイン州(旧カレン州)でも、複数の少数民族武装勢力がクーデター後の市民弾圧に反発。3月末から国軍の拠点に向けた攻撃を行っており、各地で衝突が続いている。  
4月14日 国軍は北部カチン州で、軍の拠点を襲撃した少数民族武装勢力の支配地域を報復として空爆した。カチン州では今月12日にも空爆が行われ、武装勢力側に複数の死傷者が出ている。
 国軍による市民への弾圧が続くミャンマーで、「流血のストライキ」が行われた。今週はミャンマーの新年「ティンジャン」に当たる。いつもなら水掛けなどが行われるが、今年は中止された。参加者らは、これまでに軍の弾圧により犠牲になった700人以上から流れた血を表す赤いペンキで、「私たちは死にかけています」と国連へのメッセージを赤く染まった路上に置いた。
4月15日 ミャンマーでは現在、正月を迎える連休に入っているが、抗議デモは各地で続き、軍の弾圧でけが人や逮捕者が相次いでいる。
 現地の人権団体によると、13日には牛乳配達をしていた夫婦が治安部隊に射殺されるなど、市民4人が亡くなった。ミャンマー中部の都市モンユワで15日、男性が市民とともにバイクに乗って抗議活動をしていたところ、対向車線からきた車がバイクの列と衝突した。その直後、車に乗っていた複数の人物が男性に暴行を加えたうえ拘束したという。
 国営テレビは、3月15日、ヤンゴンの戒厳令が出されている地区で、軍に情報提供したとされる女性を、刃物で切りつけ殺害するなどした罪で、市民7人に死刑判決が言い渡されたと伝えた。
4月16日 ミャンマーのアウンサンスーチー派のNLDの議員らでつくる連邦議会代表委員会(CRPH)は国家統一政府(NUG)を設立したと宣言した。NUGはクーデター以降、国軍により拘束されているウィンミン氏を大統領、スーチー氏を国家顧問職に任命するなど、主要閣僚15人と副大臣12人を発表。副大統領にカチン族出身者、首相にカレン族出身者が入った。クーデターへの抗議デモを主導するイティンザーマウン氏が女性、若者、子ども問題担当の副大臣に指名されるなど、複数の市民活動家もメンバーに入った。今後各国政府に、NUGを政府と認めるようにせまることになるだろう。


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